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学生の愚痴をクラウドという学生があくまで中立の立場で聞く… そんな低クオリティブログ。
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最近更新してなかったお詫びに連続掲載。

14

それから二週間。
平日はギアループのための朝ごはんを作り、母さんの朝ごはんと弁当を作り、空海と一緒に学校へ。
参国たちに振り回され占いをする。
学校が終わったら家で弁当を洗い洗濯をし、ギアループにある図書室(図書館か?と思うほど広い)の整理整頓掃除をし、ギアループ用の晩御飯を作って家で、また料理・・・
そして少し勉強をし、風呂に入る順番を空海ともめ(譲り合いが発展)、寝るのが10時と言うことで音速で過ぎていく平日。
休日も土曜日は午前に勉強を家でやった後、午後にナヨの希望で料理を教える。
もちろん洗濯はするし、風呂掃除も土曜日だ。料理は平日とあまり変わらないので割愛。
日曜日は、空海と出かけて、参国に会って袋叩きにされそうになったりする。
空海も空海で腕に抱きついてくるから問題だ。
母さんは仕事で「さぁ!!旬が来たふぁよ!!うちの会社が大発展する旬が来たふぁ!!」とか言うことで、毎日仕事三昧。親父にいたっては「いやー社長にフランス行けって言われちゃってな。あ、お土産に本場のパスタ買ってきてやるよ!!」とか言うことを電話でいってきて、フランスに長期滞在中。空海との面接はゼロだったり。
もう桜は散って、町で「非常に遅く咲く桜」として有名な「幻桜」がつぼみを付けていた。
そんなぽかぽか陽気だった。ギアループに入って初めての本格的なプロジェクトが始まったのは・・・。

15

それが最初に新聞に載ったのは本当に新聞の端だった。
「路上に死体。人的なものか動物によるものか。」と言う小さな見出しだった。
内容も小さく、隣町の早菜七市で男性一人が死亡。死亡原因は背中の大きな爪跡のような傷で、人的な殺害なのか動物に襲われたのかいまだはっきりしないそうだ。
しかし、事件は大きくなり、次に関連記事を見たのはその三日後、新聞の真ん中らへんである。
「早菜七市中部で胸や背中を裂かれ、男女五人が死亡。さらに北部と西部に二人ずつ、南部と東部に一人ずつ、同じ手段で殺害された死体が見つかっている。西部でなくなっていたうちの一人の指が噛み千切られていて、警察は動物による殺害と見て調査を続けている。また、死亡時間がほぼ一緒と言うこともあり、複数による殺害と見られている。」と言うなんとも読むのもつらい記事だった。
さらに二日後、今度はトップ記事に乗ってしまった。何でもこっちの町にまで殺人が及んでいるそうだ。
この県の警察庁も「これ以上殺人が起きないように警備隊の強化をうんたらかんたら・・・・・」といっているそうな。
しかし、僕の目に留まったのは発見者がその場で写真を撮った、月明かりに照らされた小さな少女のシルエットだった。そのシルエットに見覚えを感じたのはその日の午後だった。

にんにくがなくなった。それだけのことで早菜七市に出向くことになった。
にんにくがないと気付いたのは夕飯前。僕らの町の店の店じまいはやけに早く、コンビニのような二十四時間営業の店も無い。しかしにんにくが入っていないチャーハンなんてごみ置き場の魚の骨と同じだ。(これを聞いた空海が顔を真っ青にして料理を手伝うのをやめた。風邪でも引いたのだろうか。)
と、いうことでなすすべも無く、なんとなく参国に電話してみると「おぉ!ちょうどいいタイミング!!今にんにくがあまり余ってるんだ!もってけドロボー!!」だそうだ。
何でも参国の家は農家らしく、大量に収穫したにんにくを少しずつ出荷していったら出荷できる品でなくなったそうな。
という訳で自転車こぐこと小三十分。参国の家でにんにく(と、一緒に出荷できなくなった品々)を入手した帰り道、僕は確実に闇に、裏の世界に入ってしまったことを知る。

「よかった…。運よくにんにくが手に入って。しかもちゃっかりほかの出荷不可能の品までもらっちゃったし。」
明日の夕飯と明後日の弁当の買い物はしなくても良さそうだと思いながら自転車をこいでいると、
「…?」
人がいる。道の真ん中に人がいる。そこまでは僕の日常だ。しかし格好が僕の日常ではなかった。RPGに出てくる魔法使いのごとく灰色のローブをまといローブの裾と地面がこすれあっている。そして何よりフード越しに生えているように見える猫耳と腰から伸びて月に向かってゆれる二本の尻尾が僕の日常を超えていることをさしていた。
僕は知らぬ間にブレーキをかけてとまっていた。静かな空間。何分、何秒たったか分からないが先に動いたのは彼女だった。しかし

動いた、と気付いたときにはもう動き終わって僕の顔数センチ横を何かが通り抜けた後だったが。

ズドン!というプロボクサーが布団を本気でたたいてもこんな音は出ないだろうというほど鈍い音が後ろから聞こえた。
振り向いてみると地面に細い鉄杭だ刺さって、そこから何本か亀裂が走っていた。
(な…!!確実にこれ人体にあたったら骨折どころの騒ぎじゃないよ!?)
一刻も早くこの場を離れなければと思ってていても体が、足が震えて動けない。
(や、やばい…足に力が…入らない…!!)
体勢が崩れた。すこしななめる。そんな僕に
「動かないで。」
彼女が言う。いわれなくてももう…動けない。
そしてゆらりと彼女の腕が動く。指先には投擲用の小さい鉄杭。
そして鋭く動く。必殺の投擲…反射的に目をつぶった。直後
ぐしゃ、という骨と肉を一緒につぶしたような音がした。しかし僕の体に痛みは走らない。

鉄杭は僕に襲い掛かろうとしていた狼に突き刺さっていた。

「え…?」
つまり、彼女は僕を助けてくれた…?
「…」
彼女はしとめた獲物、狼にの横に座ってそっと狼の表面をなでた。
すると狼は銀の粉塵になって風の中に消えた。
「あ、ありがとう。君はいったい…?」
ゆらりと立ち上がった彼女から漏れた言葉は聞いたことのある、しかも最近であった人の名前だった。
「ナッキ…ギアループ5番、ナッキ。」
これが僕の運命を大きく変える出来事の始まりで
ここまでの僕の人生の終わりでもあった。
だがこのことに気付くのはもう少し後の話だった。

16
…その後のことはよく覚えていない。
確かナッキちゃんが藍入に報告しておくといって立ち去った後、記憶たどりで家に帰った記憶がある。
目が覚めたのは自分のベッド。起き上がるといつもどおりに床に敷かれた敷布団で空海が寝ていた。だけど昨日あんなことがあったのだ。空海にも裏の顔があるんじゃないかと疑ってしまう。
今日は…ちょっと空海と顔を合わせたくないなと思い着替えて…携帯電話もどき、ギアフープが音を奏で出した。メールの着信音。
内容は簡単で「逃げる必要はありません。説明がしたいのでこちらに来てください。by藍入」なんと僕が逃げ出そうとしていることを読まれていた。
なにが「逃げる必要はありません」だ。昨日の出来事があったら普通、逃げるだろう。
…とか思いながらきてしまった。普通じゃないんだろうか。
戸を開けると畳の部屋だった。相変わらずここはすべてを把握するのに一ヶ月くらいはかかるんじゃないかってくらいに広い。畳の部屋なんて始めて見たぞ。
「…でなんですか、藍入さん」
「ま、そこに座ってよ。」
相変わらずのんきにお茶を飲んでいる藍入はなぜか袴。袴って重いんじゃなかったっけ?ていうよりなんで袴?
とりあえず聞いてみた。
「うん?ここが和室だから。」
…そうですか。
立ってるのが馬鹿らしく感じたので座らせてもらう。
「キオからどのくらいまで聞い「この集団が研究会だって所まで。」
唐突の質問だが答えは用意してあった。
「そか。そこまでしか教えてなかったかあいつは。」
目を細める藍入。なぜそこで目を細める。
「君、キオに愛されてるよ」
「何でそうなるんですか…?」
「まぁいいや。まずはギアループからの説明に入ろう。」

「ギアループとはもともと、葉鳴高校の天文学部の集まりが発展したんだ。しかも奇跡としか言いようが無いけど、天文部結成時のメンバー全員がギアチューズ、ギアを見ることができた。
後に天文部の名の裏に『ギア総合研究同好会』っていう名前がつけられた。天体観測はもちろん、天気予報などの難解の活動をしながらギアの研究もしてきた。」
「そこで飛び降り事件が発生したのか。」
「そのとおり。飛び降りたのは私の大の親友で副部長だった、格滝七季という男だった。」
藍入の顔が少し曇る。
「何で飛び降りたのか分からない。ただ、飛び降りる前にとある言葉を残していった。」
「とある…言葉?」
「…『歯車・ギア。ギアアウターはお前らでなく俺に降りた。』」
藍入の言葉が始めて鋭くなった。
「『二十年後、お前らは悪夢を見る。この世界の終わりと、新しい世界への架け橋を』…」
「…!てことは…」
「今日がちょうど二十年後…。最近、早七菜市で起こっている殺人事件が発生しているけど、ギア関係の事件だ。」
藍入はポケットから歯車を取り出した。
「昨日ナッキが回収した狼の部品だ。」
「狼の…部品?」
「気付かなかったか?あの狼、ギアで量産されたメタリードっていう量産型機械生命体だよ。」
「メタリード…。」
「正式名称はメタルリリースビースト。ほかのギアを食らう悪魔の機械…。俺はこの一軒は格滝によって起こされたものと見ている。」
ギアを握り締める藍入の姿は怒りというには程遠く、悲しみというには少し強かった。
多分、格滝のことも気になるのだろうけど自分の無力さをかみしめている。そんな気がした。
「俺は格滝による行為だとはできるだけ思いたくは無いんだ。でも、格滝が部室からもっていったサンプルのコピーと、このギアの性質は・・・まったく同じ。」
「あ、あの!」
何かこのまま永遠に終わりそうに無かったので
「でも、格滝を殺すとは決まってないじゃないですか。格滝を止めるだけなら、まだ後悔するよりましなのでは無いでしょうか!?」
自分のいったことがどんなに恥ずかしいことか認識してうつむいた。
何かっこいいようなこと言ってるの僕!?
「・・・君は強いな。僕にはそうは思えないよ。」
やっぱり否定された!!そうだとは思ってたけど。
「確かにこれ以上殺人を見たくは無い。早く格滝を止めなければな。」
あれ?否定されたはずなのになぜかよい方向へ進んで・・・?
藍入は少しの微笑とともに思い出したかのように
「そういえば、君の立場、ノーギアの説明もまだだったね。」
・・・問題発言をなさった。
「ノーギア、意味は分かる?」
「歯車がない人のこと・・・?」
「惜しい、寿命と力のギア、大きいほうのギアがない人のことだ。」
いわれてみれば、小さい歯車はまだ残っている。
「・・・僕はあとどれくらい生きていられるんですか?」
「なにいってるの?」
・・・あれぇ?
「だってノーギアって死ぬんじゃ・・・」
「いや、むしろ死ねない体だよ?て、いうかそんなこと誰から?」
「空海です。」
「あいつ・・・まぁ、説明しよう。」
藍入はこめかみに手を当てて少々めんどくさそうに話した。
「ノーギアっていうのはさっきも言った通り寿命と力のギアがない人の事を指す。そしてノーギア最大のデメリットは」

「成長しないことだ。」

「・・・は?」
「だから君はそれ以上背が伸びないし、それ以上顔立ちも変わらない。一番身近なのが空海だろう。」
「空海がどうしたんですか?」
少し笑いながらでも真剣な藍入。個人的にこの人は感情を一度に二つほど出すからめんどくさい。
「あいつ、今何歳だと思う?」
「え?僕の同級生だから15歳くらいじゃないんですか?」
「やっぱりそう思うよな。」
違うの?じゃぁ何歳だ?聞いてみると、
「あいつ20歳だよ。」
・・・は?空海が20歳?
「HAHAHA、何の冗談で?」
「寿命をつかさどるギアがないんだから寿命がこない。寿命がこない分成長もしないんだよ。」
えーとつまり・・・
「簡単に言うと君も成長しないんだよ。」
「・・・マジっすか」
「マジ、大マジ。」
ああ、僕の青春が遠くに旅立った気がしたよ・・・。

ともあれ僕の仕事は「掃除、洗濯、料理などの家事」から「学生の中でギアに関するうわさ集め」になったそうだ。
まぁ、空海もいれば大丈夫だろう。そしてふと考えた。
20年も生きててよくあんな天然だな、と家の前で立ち止まった。
空海には今まで通り、普通に接していこうとまだ明け方に近い空に誓った。

17

さてはて、ギアループの本当の活動が始まって早いこと三日。
葉桜はまだ残っている花びらで淡く、紅く染まった、そんな日の学校・・・

「えーあー何か連絡がいる生徒か委員会いるかー?」
先生の話はみんなスルー、あえて日本語で言うなら無視、そんなところだが。
「いないのかーじゃぁ・・・」
ガン!!
いきなりの衝突音にみんなこちらを、正確には空海を見る。
寝ていた。爆睡だこれ、痛いのも分からないほどって・・・。
「おいおい絹織、何やってるんだー?寝てるー?起こしてやれ和灯ー。」
「空海、起きてねぇ空海!!」
「にパ!?」
なぞのうめき声で起きた。
「うに・・・おはようわとぉ・・・あさごはんなに?」
まだ寝てた。だがそれ以上に困ることがある。
朝ごはんを僕に聞いたせいか「・・・同居?」「あるんじゃない?あの二人なら。」「そういえばわとっていっつも空海さんと帰ってるよね。」「あ、見たことある、駅まで一緒って・・・」
クラス中の空気が矢になって僕に突き刺さる。イタイイタイイタイ!!!
そんな中。
「みんな!!大丈夫だ!!」
いきなり参国が立ち上がって
「確かにトモビーと空海様は同居だから!!」
ガン!!
何を言いやがるこの侵入者め・・・。フォローのフすらないぞ・・・。
ちなみにガンという音は僕の額と机の衝突音だ。
「はい参国は今のを訂正して座れーで、さっきの続きだが・・・」
「え、あ、あの~皆さん?私は真実を言っただけでしてね・・・」
「黙れ侵入者め・・・。」
そういうとみんな「そっかー」「そうだよなー」「うん、参国くんだもの・・・。」といい始める。なかなかに(参国限定で)涙が出そうな光景だ。
「みんな分かってると思うが明後日は・・・」
あれ?なんかあったっけ?
「中間テストです、皆さんがんばってくださいね。」
中間テスト?チュウカンテスト?ちゅうかんてすと?中間テスト・・・。
理解するまで二秒、それをやるにあたって問題に気付くのにさらに四秒、現実を認めるのに結構かかって24秒・・・。
「・・・。」
机にふしたまま死にたくなってきた。
しまった・・・ここ数日皆の下校が早いと思ったら中間テストか・・・ギアループの活動が早すぎて勉強してる暇なんてなかった!!
「うみゅ・・・きゅう。」
空海はのんきにまだ寝ていた。
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